Journal of Veterinary Medical Science
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ジュウシマツ由来Salmonella Typhimuriumの感染性および感染持続性
佐藤 良彦
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1996 年 58 巻 12 号 p. 1175-1179

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抄録

ジュウシマッの自然感染例から分離されたSalmonella Typhimuriumの感染性を調べた. 1羽当たり102CFU, 104CFUあるいは105CFUのS. Typhimuriumを, それぞれ8羽のジュウシマッのそ嚢内に接種し1週間観察した. その結果, 104CFU接種区の4羽および105CFU接種区において全羽に感染が成立し, 肝臓の巣状壊死は前者の4羽, 後者の6羽に認められた. 次に105CFUのS. Typhimuriumを8羽のジュウシマツに接種し22日間観察したところ, 14日目と20日目にそれぞれ1羽が死亡した. 糞便中への排菌は接種翌日から最終日まで認められ, 最大排菌量は3.9×108 CFU/gであった. 接種22日後における肝臓, 脾臓, 腸管の保菌, および肝臓の巣状壊死は死亡鳥も含め7羽に認められた. 以上の成績は, ジュウシマツ由来S. Typhimuriumがジュウシマツに対し病原性と感染持続性を有することを示し, このことからジュウシマツにおけるS. Typhimurium感染症はヒトへの感染源として非常に重要と考えられた.

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