1996 年 58 巻 2 号 p. 141-144
黄体後期の牛にACTH3mgを連日14日間筋肉内に投与して卵胞嚢腫を誘起した. ACTH投与開始後, 血中コルチゾール濃度は有意に上昇した. ACTH投与による卵胞嚢腫の形成過程においては, 血中プロジェステロン濃度はACTHを処置する以前の排卵直前のそれに比べて有意に高く, 一方, 血中エストラジオールー17β濃度は有意に低い値を示した. ACTH処置期間中, 血中LHおよびFSH濃度はともに低値で推移し, 排卵前の両ホルモンのサージはいずれも観察されなかった. これら両ホルモン放出の抑制にはコルチゾールおよびプロジェステロンの分泌過剰, およびエストロジェンの分泌不足が関与しているものと思われた.