Journal of Veterinary Medical Science
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軽種馬(サラブレッド)血清中の脂質過酸化レベルと血清の有するスーパーオキシド除去活性
桑原 幹典犬養 尚子稲波 修三宅 陽一角田 修男牧 与志幸佐藤 文昭
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1996 年 58 巻 2 号 p. 97-101

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抄録

軽種馬(サラブレッド)を日常的な運動量の差に応じて, 子馬(6ヶ月齢), 競走用馬(5歳), 繁殖用馬(6~10歳)に分類し, 血清中の脂質過酸化レベルをチオバルビツール酸反応性物質量として測定した. その結果, これらのグループ間に有意差が観測されなかった. 次に, 各種馬の抗酸化能力を調べる目的で, 血清の有するスーパーオキシド除去活性を測定した. その結果, 軽種馬では競走用馬の血清が子馬, 繁殖用馬のそれよりも高い活性を示した. 競走用馬血清の高い活性は, 脂質過酸化レベルを他のグループのそれと同程度に抑制するために作用していると思われた. HPLC分析により, 競走用馬血清の高い除去活性の要因の一つとしてアルブミン結合型ビリルビンの存在が推論された. 一方, 重種馬(雑種)血清との比較では, 軽種馬の脂質過酸化レベルは7.0±1.2nmol/ml, 重種馬のそれは2.6±0.7nmol/mlと測定され, 軽種馬の方が有意に高値を示した. また血清のスーパーオキシド除去活性の比較では軽種馬血清の方がより高い活性を示した. このことから, 軽種馬血清は重種馬血清に比べ高いスーパーオキシド除去活性を有するにも係わらず, 脂質過酸化レベルも高いという事実が明らかとなった.

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