Journal of Veterinary Medical Science
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ウズラ胃を支配する迷走神経背側核節前細胞の分布と投射様式
杉田 昭栄飯塚 泰士菅原 邦生
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1996 年 58 巻 3 号 p. 229-234

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抄録
ウズラ胃へ投射する迷走神経背側核(nX)節前細胞の分布および投射様式を蛍光色素法を用いて検討した. また, 迷走神経背側核節前細胞の細胞構築についても調べた. 本研究には, 体重100-140gのニホンウズラ(Conturnix japonica)雌雄18羽を用いた. そのうちニッスル染色に3羽, 蛍光色素法に15羽を用いた. ニッスル標本は深麻酔後, 型どおりの処理をして作製した. 蛍光色素法 : ウズラを腹腔内投与で麻酔し, 腺胃と筋胃及び胃の吻側背側厚筋と尾側腹側厚筋, 尾側腹側薄筋と吻側背側薄筋の組み合わせで, 2.5% nuclear yellow(NY)とfast blue(FB)を各筋にそれぞれ20μlずつ注入した. 10日間の生存期間の後潅流固定をし, 60μmの前額断連続凍結切片を作製し蛍光顕微鏡で観察した. ニッスル標本によりnXは背側(Xd)と腹側(Xv)の二部位に分けられた. 腺胃にNY, 筋胃にFBを注入すると, NYおよびFB標識細胞は神経核内に広範に分布していたがNY標識細胞はXdの中央レベルでは内側に局在していた. 二重標識細胞は見られなかった. 一方, 筋胃の厚筋対または薄筋対を構成する筋のそれぞれにNYおよびFBを注入すると, 各標識細胞が不規則に混在していたが, NYおよびFBを同時に取り込んだ二重標識細胞がnXの中央約2/3の範囲に見られた. このことより, 多くの節前細胞は単独に各筋を支配しているが, 一部の節前細胞は側副枝を出して対となる筋を同時に支配していることが分かった.
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© 社団法人 日本獣医学会
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