Journal of Veterinary Medical Science
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Babesia microtiならびにBabesia rodhaini感染マウスの感染経過および遅延型過敏反応に及ぼすT細胞subpopulationの影響
嶋田 照雅鹿野 創人橋口 理恵松木 直章小野 憲一郎
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1996 年 58 巻 4 号 p. 343-347

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抄録
Babesia microti(BM)ならびにBabesia rodhaini(BR)感染初期の細胞性免疫応答におけるLyt-2陽性(Lyt-2+)およびL3T4陽性(L3T4+)T細胞の役割を明らかにするため, モノクローナル抗体投与によりLty-2+あるいはL3T4+T細胞を枯渇したマウスについて, BMおよびBR感染後の経過ならびに遅延型過敏反応を検討した. Lyt-2+T細胞枯渇マウスは, BM感染には強い抵抗性を示したものの, BR感染には逆に高い感受性を示した. 一方, L3T4+T細胞を枯渇したマウスでは, BM感染には高感受性を, BR感染には抵抗性を示した. 遅延型過敏反応は, BM感染ではLyt-2+T細胞の枯渇により有意に増強されたのに対し, L3T4+T細胞の枯渇により有意に抑制された. 一方, BR感染では, 遅延型過敏反応にいずれのT細胞枯渇の影響も認められなかった. これらの結果から, BMおよびBR感染初期の細胞性免疫応答におけるLyt-2+およびL3T4+T細胞の役割は異なっており, これがBMおよびBR感染マウスの感染経過の相違に関連するものと考えられた.
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