1996 年 58 巻 6 号 p. 495-499
内面逆相型カラム付き高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた血清の直接注入によるδ-bilirubin(Bδ), diconjugated bilirubin(DCB), monoconjugated bilirubin(MCB)およびunconjugated bilirubin(Bu)の分析法を開発した. HPLCの分析条件は, 移動相にアセトニトリル:0.5Mトリス塩酸緩衝液(20:80, v/v, pH7.2), UV検出波長450nm, 検出感度0.01AUFS, チャートスピード4mm/minであった. 標準血清として用いたヒト閉塞性黄疸患者血清からは, 直接注入によってBδ, DCB, MCBおよびBuがそれぞれ4.4, 6.4, 9.2および14.5分に溶出した. 薬剤フリーの豚血清に標準物質のBuおよびDCBを添加した時の平均回収率は, それぞれ91.9%および95.9%であった. 本分析条件を用いて黄疸獣畜の血清を直接注入法により分析した結果, 4種類のビリルビンピークが得られた. なお, ビリルビンのピーク高の合計と標準の生化学的検査法によって測定された総ビリルビン値との間には, 一定の相関が認められた.