抄録
過去12年間に収集したChediak-Higashi症候群(C-HS)の黒毛和種牛56頭の中で血統書の入手できた44頭の分析の結果, 親牛が無症状であること, C-HS発症雌牛が正常牛を生んでいること, ほぼ雌雄同数に発症することなどから, 本症は常染色体性劣性に遺伝すると考えられた. そこで, ある地域を選び, 発症牛の母親8頭の子牛について先験法による分離比分析を行ったところ, 常染色体性単純劣性遺伝であることが裏付けられた. さらに, 同地域の36頭の母牛が生んだ257頭の子牛(そのうちC-HS牛8頭)において, 発症率から求めた遺伝子頻度(0.1764)に基づいて求めた保因牛, 発症牛の期待値と観測値をX2検定した結果, この方法によっても, 本症が常染色体性単純劣性であるとの仮説と矛盾しなかった.