抄録
ジュウシマツ由来Salmonella Typhimurium (S.Typhimurium)の病原性を調べるため, 3日齢の鶏を用いて接種試験を行った. 試験1では, ジュウシマツ由来S.Typhimuriumを1羽当たり104CFU, 108CFU経口接種し1週間観察した. 排菌は両試験区とも接種翌日から認められ, 1週間継続した. 肝臓, 脾臓および盲腸内容の保菌は両試験区とも全羽に認められ, 盲腸内容の菌量は概ね108CFU/gであった. 病理組織学的検査では, 肝臓の巣状壊死がほぼ全羽に観察された. 試験2では, ジュウシマツ由来S.Typhimuriumの病原性を鶏由来S.Typhimuriumと比較するため, 以下の試験を行った. ジュウシマツ由来および鶏由来S.Typhimuriumを1羽当たり104CFU接種し3週間観察したところ, 排菌はジュウシマツ由来区が鶏由来区より有意に早く, 3週間継続した. 肝臓, 脾臓および盲腸内容の保菌は両試験区において同程度認められ, 盲腸内容の菌量は概ね108CFU/gであった. 病理組織学的検査では, 肝臓の巣状壊死がほぼ同程度に観察された. 以上の成績から, ジュウシマツ由来S.Typhimuriumは鶏に対し感染性と病原性を有し, その病原性は鶏由来S.Typhimuriumとほぼ同程度であることが示唆された.