抄録
シリコンナノワイヤは,次世代の半導体デバイス材料として注目を集めている.我々は独自に開発した量子力学的第一原理電子状態計算プログラムRSDFTを用い,「京」を利用することによって実デバイスサイズに相当する数万原子系の電子状態計算を行った.その結果,ナノワイヤ表面のラフネスが,デバイスとしての動作にあまり影響を及ぼさないことがわかった.さらに得られた結果をπ-CAVEシステムを用いて三次元可視化することにより,シリコンナノワイヤ内部における波動関数の分布を詳しく観察した.また半導体結晶中において空間に広がる状態が発見された事例を紹介し,可視化技術は新規物理現象の発見に繋がる重要な分野であることを述べる.