2016 年 36 巻 141 号 p. 14-20
本稿では,複雑な構造を有するネットワークの特徴や機能を視覚的に明らかにするために,従来とは異なる視点のコミュニティを抽出し,コミュニティごとに色分けしてノードを可視化するフレームワークについて解説する.ネットワークを構成する各ノードはそれぞれ固有の機能や役割を有し,他のノードと相互に影響を及ぼし合っている.本稿では,従来の密結合しているノード群としてのコミュニティとは異なり,類似の機能を有するノード群を機能コミュニティと称し抽出する.具体的には,PageRankモデルにより得られるスコアの収束曲線をノードの機能を表現するベクトルとして構築し,ベクトル間の類似度によりノード群を分類する.このフレームワークを人工ネットワークに適用することで機能コミュニティの性質を示すとともに,Webのハイパーリンクネットワーク,道路網に適用し,実データにおける抽出されたノード機能が妥当なものかについて確認する.