可視化情報学会誌
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宇宙線ミューオンを用いた断層破砕帯の構造透視手法
―断層破砕帯のミューオグラフィー―
山崎 勝也武多 昭道小村 健太朗
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電子付録

2018 年 38 巻 149 号 p. 11-15

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抄録

 宇宙線ミューオンを用いた内部構造透視技術“ミューオグラフィー”は近年著しく進歩しており,火山の内部構造透視などの結果が注目を集めている.この技術はその性質上,観測装置よりも上方にある構造物にしか適用出来ず,これまでの多くの研究は地上に隆起した山体などの構造物を観測対象としてきた.我々はこの技術を地下の構造物,特に地震断層に対して適用するための観測装置を開発し,観測を実施した.

 今回我々は掘削調査などで使用されたボアホール内に設置可能な観測装置を開発し,岐阜県飛騨市神岡町跡津川にある富山県南部から岐阜県北部にかけて東北東-西南西方向に分布する跡津川断層帯の一部にあるボアホールを観測地として深さ100 mまでの断層の構造調査を行った.その結果,ボアホール周辺に存在する断層破砕帯による平均密度変化の兆候を観測することに成功した.今後,観測深度を300 mまで延長し,より詳細な調査を実施する.

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© 2018 社団法人 可視化情報学会
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