2018 年 38 巻 149 号 p. 16-20
揮発性成分に富むマグマは,上昇によって必然的に発泡する.閉鎖系を維持したまま上昇を続けると,ガス分率が急上昇し,火砕物と高温ガスの混合物ジェットとして爆発的に噴出する.一方,同じマグマでも,穏やか噴火し,発泡していない溶岩を流出することも多い.そのような噴火では,マグマ上昇中に発生したガスが系外へ抜ける開放系脱ガスが効率的に働いていると考えられているが,溶岩中にはガスの通路の痕跡が残されていないため,一体ガスがどのような仕組みで系外へ流れてゆくのか,ほとんど理解されていない.本論文では,そのようなガス通路を探索した研究を概観し,如何にして通路を可視化し,詳細な理解を得てゆくかという戦略を考える.