楽器音響分野において弦楽器は一般的に音色を決定する主要因として弦・駒・響板が大切とされているが,沖縄の伝統弦楽器である三線は演奏家や製作者達から棹が何よりも大事であると考えられてきた.そこで本研究では棹が音色に与える影響を解明する事を目標とする.楽器の解析では理論や数値計算による解析や実験的な計測など様々な手法が用いられるが,中でも楽器の振動を可視化する手法は,視覚的に楽器の複雑な連成振動を把握するのに有用である.本報告では打撃試験及び弾弦試験による棹の振動モードの可視化と数値計算による共鳴胴の膜振動や胴内の音圧分布の可視化を行う事で,棹が三線音に与える影響を評価した.棹の可視化では,棹と弦の接点である歌口付近が棹の振動の腹になるモードにおいて余韻が長くなる事が判明し,共鳴胴の可視化では,胴内を貫通している棹の一部である心の存在により音波の伝搬が阻害され振幅や周波数が変化する事がわかった.