岩石形成に関する物理化学的過程(プロセス)を抽出するためには,計測・分析により対象から最大限に定量的データを抽出するとともに,得られたデータから定量的なモデリングを通じて本質的な情報を最大限に引き出す必要がある.本稿では,二つの典型的な岩石学的問題設定,つまり,単一岩石を対象とした際における岩石微細組織からのプロセス抽出と,多数の岩石試料群を対象とした際における全岩平均化学組成データセットからのプロセス抽出,について,著者らの行った情報・計測融合型アプローチによる関連研究を紹介する.いずれの問題設定においても,計測データの取得・プロセスの解釈・定量的なモデリングといった一連の研究過程の中で,解析者の持つ専門知の活用を促す可視化の果たす役割は大きい.今後,地球科学データの特性などを考慮し,未知の岩石形成プロセス発見を促すような新たな可視化情報処理手法の開発が特に望まれる.