極超音速流における境界層の乱流遷移では一次モード(TS波)よりも一ケタ高い周波数(数百kHz)の二次モード変動が支配的な役割を果たすと考えられている.近年,二次モード変動が低周波の変動と干渉しながら成長する過程が極超音速風洞において観測されているが,従来の線形安定性解析ではこれを説明することができず,非線形効果を考慮した新たな理論の確立が必要である.筆者の研究グループでは,低周波モードと干渉する二次モードの成長過程を直接数値シミュレーション(DNS)により捉え,非線形理論を構築するために必要なデータを取得することを目指している.本稿では,エネルギー生成項を介して境界層内部に10kHzの低周波温度擾乱を付加して乱流遷移を発生させることを試みた結果,付加した周波数とは異なる高周波の二次モードが励起されて乱流遷移する過程がDNSによって捉えられた.