多くの流体現象は,時空間的に複雑に振る舞うため,実験や数値解析で得られたデータから物理的に重要な特徴を見出すことは未だ容易ではない.本稿で紹介する動的モード分解(DMD: Dynamic Mode Decomposition)は,近年盛んに研究が進められているデータ解析手法の1つであり,流体データに内在する空間的な特徴と動的な特徴を抽出することができる。また,対象の支配方程式を仮定しないデータ解析法であるため,多様なデータに適用可能な利点がある.本稿では,動的モード分解に関する筆者による研究例を簡単に紹介する.