日本暖地畜産学会報
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原著論文(一般論文)
電気柵の設置方法(高さ・段数)の違いが牧場採草地へのシカ侵入に及ぼす影響
高山 耕二石井 大介内山 雄紀吉田 美代赤井 克己城戸 麻里伊村 嘉美中西 良孝
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2009 年 52 巻 1 号 p. 45-49

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抄録

牧場採草地における省力かつ効果的なシカ侵入防止法を開発することを目的とし,2~4段張り電気柵(非通電)に対する飼育シカの行動反応から効果的な電気柵の設置方法(高さ・段数)を探るとともに,これらを採草地に設置した場合のシカ侵入防止効果を検討した.
1)2~4段張りの非通電電気柵(慣行区:地上高30,60,100および140 cmの4段張り,3-100区:地上高30,60および100 cmの3段張り,3-70区:地上高30,50および70 cmの3段張り,2-60区:地上高30および60 cmの2段張り)に対し,飼育シカは強い警戒を示した.各区とも口唇による地上高60~70 cmの電線への接触が多く観察され,その後,慣行区および3-100区では電線間を通り抜け,3-70区および2-60区では通り抜けと飛び越えがおよそ50%ずつ観察された.2)採草地における2~4段張り電気柵(慣行区,3-100区,3-70区,2-60区および地上高45および90 cmの2段張り電気柵を設置した2-90区)のシカ侵入防止効果については,2-60区においてライトセンサス法により確認されたシカ侵入頭数が他の区に比べ多く認められ(P<0.05),他の区よりも効果が劣っていた.また,2-60区では,最上段の電線を飛び越えて,採草地に侵入するシカの様子が確認され,3-70区においても同様であった.
以上より,最上段の電線の高さを90~100 cmに設定した2または3段張り電気柵を採草地周囲に設定した場合には,4段張り電気柵と同程度のシカ侵入防止効果が得られ,設置の省力化ならびに低コスト化が図れる可能性が示された.

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© 2009 日本暖地畜産学会
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