前報において市販飼料に製茶加工残さを2%混合給与することで,枝肉中の背脂肪厚が減少し,肉質中のα-トコフェロール含量が高くなることが確認された.本試験では,一番茶よりも渋みは増すものの,機能性成分を多く含む二番茶の給与試験を行い,単飼条件下における枝肉,肉質および免疫に与える効果について検討した.供試豚はLWD三元豚の去勢豚とし,試験区分は製茶加工残さを肥育前期では無抗菌剤飼料に対し2%,肥育後期では市販飼料に対し1%添加した一番茶区および二番茶区,無抗菌剤飼料を給与した無抗菌剤区,抗菌剤入りの市販飼料を給与した対照区の4試験区とし,各試験区4頭ずつ供試した.試験はコンクリート平床豚房で単飼により行い,試験豚の平均体重が30 kgを超えた時点で試験を開始した.肥育前期から後期への飼料の切り替えは,各試験区の平均体重が65~75 kgの範囲に達した段階で行い,試験期間中は不断給餌とした.供試豚が110 kgに達した時点でと畜を行った.
供試した製茶加工残さの成分において,二番茶は一番茶と比較してα-トコフェロール含量およびカテキン含量が高くなることが確認された.発育成績においては,試験区間での差が確認されなかった.枝肉成績において,枝肉重量に有意差は認められなかったが,背脂肪厚(肩)については,対照区と比較して,一番茶区および二番茶区が薄い傾向にあった.枝肉中のα-トコフェロール含量は,背脂肪においては有意差が確認されなかったが,胸最長筋は対照区と比較して二番茶区が高い傾向にあった.血中のAR抗体価は有意差が確認されなかったが,IgG濃度については,試験開始後56日目において,二番茶区が無抗菌剤区と比較して高い傾向にあった.
以上の結果から,製茶加工残さ二番茶は一番茶と比較して,枝肉成績や肉質を向上させ,さらに免疫を増強させる可能性が示唆された.
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