日本暖地畜産学会報
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総説
放牧畜産発展の課題と水田を活用した放牧時季の延長技術
千田 雅之
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2010 年 53 巻 1 号 p. 17-23

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抄録
米の生産調整,遊休農地の解消,飼料自給率の向上を図るうえで,農林地の飼料利用は喫緊の課題である.農林地の飼料利用技術のなかで,放牧は複雑な地形の多い農林地資源を省力的に保全管理するうえで有効な技術である.しかし,わが国では土地利用面でも畜産経営面でも放牧が広く普及しているとは言い難い.放牧の普及を図るには,放牧対象牛の拡大,放牧時季の延長,水田作経営や集落営農と畜産経営の連携等が必要である.
筆者らは,放牧時季の延長技術として,飼料イネ,再生稲(ひこばえ),稲発酵粗飼料など,水田で生産可能な飼料の放牧利用技術を開発した.これらの技術は,牧草生育の衰える時季の放牧飼料を確保でき,周年放牧の実施を可能にし,家畜飼養の省力化と飼養頭数の増加,飼料自給率の向上を図るとともに,水田の有効利用にも寄与する.
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© 2010 日本暖地畜産学会
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