日本暖地畜産学会報
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53 巻, 1 号
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研究紹介
総説
原著論文(一般論文)
  • 林田 瑠美子, 礒兼 妙子, 片渕 直人, 大坪 利豪, 和田 康彦
    2010 年 53 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル フリー
    ウシのサイログロブリン遺伝子のプロモーター領域に1塩基置換(C/T)が存在し,そのSNPと脂肪交雑との間に関連性が存在することが報告されており,脂肪交雑の候補遺伝子の1つとして注目されている.そこで,佐賀県で生産された黒毛和種の種雄牛および繁殖雌牛と,佐賀県産種雄牛の糸晴栄の去勢息牛について,この1塩基置換と枝肉形質との関連性を検討した.種雄牛と繁殖雌牛の遺伝子型はCC 7頭,CT 19頭,TT 16頭であった.遺伝子型の効果はロース芯面積について5%水準で有意であり,CT型がCC型に対して有意に大きなロース芯面積を持つことが示された.糸晴栄の去勢息牛の遺伝子型はCC型 44頭,CT型 117頭,TT型 71頭であった.分散分析の結果,遺伝子型の効果は全ての形質において有意性が認められなかった.
  • AMARASINGHE Barushi G., 小川 ゆかり, 青木 高信, 堀元 栄枝, 駒井 史訓, 上埜 喜八, 尾野 喜孝
    2010 年 53 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル フリー
    ホテイアオイのブタ用飼料原料としての可能性を検討するために,ホテイアオイを乾草および生草で市販配合飼料にそれぞれ5%と3%(乾草重量換算)添加して肥育豚に給与した場合の発育,枝肉成績,消化器官と筋肉の重量およびロース肉の食味性と脂肪酸組成に及ぼす影響について調査した.ホテイアオイはいずれの形態で給与しても,肥育豚の日増体量,飼料効率,枝肉重量および枝肉歩留まりには影響を及ぼさなかった.しかし,ホテイアオイを乾草で5%給与した場合では,脂肪酸組成においては,不飽和脂肪酸の増加と飽和脂肪酸の低下が,また食味試験においては,多汁性と総合評価において優れる結果が認められた.以上の結果より,ホテイアオイは乾草および生草のいずれにおいてもブタ用の飼料原料として利用可能であることが明らかとなった.
  • 中村 好徳, 平野 清, 中西 雄二, 神谷 充, 常石 英作, 加藤 直樹, 林 義朗, 山田 明央
    2010 年 53 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル フリー
    褐毛和種(3頭,6~7ヵ月齢,253±7 kg)と黒毛和種(6頭, 6~7ヵ月齢,230±17 kg)去勢雄牛を用いて,暖地型牧草(バヒアグラスおよびヒエ)放牧地と寒地型牧草(イタリアンライグラス)放牧地で周年放牧育成後,放牧を続けながら配合飼料無給与で自家産のコーンサイレージ(CS)を併給する肥育方法により飼養し,本生産技術における増体と肉質の特徴を明らかにした.実験期間中の増体量の相違から褐毛和種は 22~24ヶ月齢,体重751±15 kg,黒毛和種は28ヶ月齢, 613±15 kgで出荷され,全放牧期間中の日増体量は褐毛和種で1.1 kg/日,黒毛和種で0.6kg/日であった.飼料成分は黒毛和種の血液性状に顕著に影響し,夏期の増体量の鈍化は夏期牧草とCSの低蛋白質含量と低消化性繊維の増加に起因すると考えられた.牛枝肉格付評価は褐毛和種がA-2のみ,黒毛和種がB-2のみであった.胸最長筋の肉質は,褐毛和種の方が黒毛和種よりも剪断力価とコラーゲン含量が有意に高く,一方,慣行肥育の黒毛和種去勢雄牛と比べると褐毛和種および黒毛和種ともに高蛋白および低脂肪であり,加えてビタミン類とコラーゲン含量が高かった.これは放牧による生草の直接摂取による天然のビタミン類の摂取と適度な運動による筋肉中結合組織の発達促進が原因であると考えられた.
  • 林田 瑠美子, 前田 友香, 片渕 直人, 大坪 利豪, 山田 宜永, 佐々木 義之, 和田 康彦
    2010 年 53 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル フリー
    ウシのAkirin2遺伝子の+22220の位置に1塩基置換(A/G)が存在し,大分県の黒毛和種集団において脂肪交雑との間に関連性が存在することが報告されており,脂肪交雑に関連する候補遺伝子の1つとして注目されている.そこで,佐賀県で生産された種雄牛と繁殖基礎雌牛ならびに佐賀県産種雄牛である糸晴栄の去勢息牛について,この1塩基置換と枝肉形質との関連性を検討した.種雄牛と繁殖基礎雌牛の遺伝子型はAA11頭,AG12頭,GG10頭であった.分散分析の結果,遺伝子型の効果は枝肉重量とバラの厚さについて5%水準で有意であり,GG型が有意に重い枝肉重量と厚いバラを持つことが示された.他方,糸晴栄去勢息牛の遺伝子型はAA型60頭,AG型122頭,GG型56頭であった.遺伝子型の効果は肉の光沢と肉のきめしまり等級において5%水準で有意性が認められ,AA型が肉の光沢と肉のきめしまり等級で有意に優れていることが示された.
  • 脇屋 裕一郎, 安田 みどり, 大曲 秀明, 宮崎 秀雄, 北島 由希, 西尾 公志, 河原 弘文, 下平 秀丸
    2010 年 53 巻 1 号 p. 57-65
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル フリー
    前報において,一番茶よりも渋みは増すものの,機能性成分が高い二番茶について単飼条件下で肥育した豚への給与試験を行い,二番茶は一番茶よりも枝肉成績や肉質を向上させ,さらに免疫を増強させることが確認された.そこで本試験では,一般の豚生産の条件に合わせて群飼した肥育豚に二番茶を給与し枝肉,肉質および免疫増強に与える効果を調査した.
    供試豚はランドレースの去勢豚とし,試験区分は無抗菌剤飼料に製茶加工残さを添加した一番茶区ならびに二番茶区,無抗菌剤飼料を給与した無抗菌剤区および抗菌剤入りの市販飼料を給与した対照区の4区とした.供試豚は各試験区ともに6頭ずつとしてコンクリート平床豚房で群飼し,平均体重が30 kgを超えた時点で試験を開始した.一番茶区および二番茶区は,肥育前期には無抗菌剤飼料にそれぞれ2%混合し,肥育後期には市販飼料にそれぞれ1%混合して給与した.
    発育成績において,日増体量は有意な差が認められなかった.枝肉成績において,枝肉重量に有意差は認められなかったが,背脂肪厚(腰)については,対照区および無抗菌剤区と比較して,一番茶区および二番茶区が有意に薄くなった(p<0.05).枝肉中のα-トコフェロール含量は,胸最長筋においては有意差が確認されなかったが,背脂肪は無抗菌剤区と比較して二番茶区が有意に高くなった(p<0.05).免疫増強効果について,血中のAR抗体価は,試験開始21日および28日目において一番茶区が対照区および無抗菌剤区と比較して有意に高くなり(p<0.05),IgA濃度は,試験開始14日目に二番茶区が無抗菌剤区と比較して有意に高くなった(p<0.05).また,農家実証試験においても背脂肪厚低減による上物率の向上が確認された.
    以上の結果から,群飼条件下においても単飼条件下と同様に,製茶加工残さ二番茶は一番茶と比較して,枝肉や肉質を向上させ,さらに免疫機能を向上させる可能性が高いことが確認された.
  • 伊村 嘉美, 屋良 朝宣, 宮城 尚, 仲村 一郎, 川本 康博
    2010 年 53 巻 1 号 p. 67-73
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル フリー
    エコフィードの迅速で簡便な栄養価の評価方法を確立するために,全糞採取法(in vivo法),酸不溶性灰分を指示物質として用いる方法(AIA法)および人工消化試験法(in vitro法)でエコフィード2種類と市販の肥育豚用配合飼料2種類の栄養価を測定し,比較検討した.
    CP,NFE,OMおよびDM消化率についてin vivo法とAIA推定値との間に有意な相関は認められなかったが,EE,CAおよびCF消化率についてはAIA推定値との間に有意な相関関係が認められた(いずれもp<0.01,r>0.7).DCP,DEE,DCF,DNFE,可消化有機物(DOM)およびTDNについてin vivo試験における値とAIA法による推定値との間に有意な相関関係が認められた(p<0.05,r>0.46).
    エコフィードのin vivo有機物消化率はin vitro法における有機物消失率との間に有意な回帰式(OMD=0.39×OMDv+0.60,r=0.81,p<0.05)が得られ,in vitro法によって有機物消化率を推定することができた.
原著論文(短報論文)
  • Shuichi ITO, Yusuke EGUCHI, Ken-ichi YAYOU, Toshio TANAKA
    2010 年 53 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル フリー
    This study investigated the behavioural characteristics of the Japanese native chicken, Gifu native fowl, under cage conditions. We studied both Gifu native fowl, which is one of the oldest and most famous traditional breeds in Japan and commercial hens (Dekalb XL). These birds were reared under battery cage conditions, a management system defined as a behavioural restricted environment. Ten birds each of Gifu native fowl and commercial hens were reared in individual battery cages (948 cm2/bird). Behavioural observations were performed from 06:00 to 16:00 using a 1-min-interval scan sampling method. Time ratios of feeding and sitting for commercial hens (38.1% and 9.6%, respectively) were significantly (P<0.05) higher than those for Gifu native fowl (23.1% and 3.7%, respectively), while time ratios of stereotypic pacing and preening for Gifu native fowl (6.1% and 26.2%, respectively) were significantly (P<0.05) higher than those for commercial hens (1.7% and 14.0%, respectively). There were no significant differences in other behaviours between the 2 breeds. These results indicate that Gifu native fowl may exhibit fewer instances of stereotypical behaviour under cage conditions.
  • 常石 英作, 中西 雄二, 神谷 充, 中村 好徳, 柴 伸弥
    2010 年 53 巻 1 号 p. 79-83
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル フリー
    バイオプシー調査によってウシの飼養条件と筋肉中の化学成分含量との関係解明を目的として,牛ロース芯におけるカルニチン,タウリン,アンセリン,カルノシン,遊離アミノ酸について,それらの含有量と各値を総クレアチニン含量で除した値との相関を求めたところ,いずれも1%水準で有意な正の相関が認められた.これらの水溶性成分含量の測定に際し,供試筋肉重量が不明な場合,総クレアチニン含量をその指標として用いることが可能であると考えられた.
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