2010 年 53 巻 1 号 p. 25-29
ウシのサイログロブリン遺伝子のプロモーター領域に1塩基置換(C/T)が存在し,そのSNPと脂肪交雑との間に関連性が存在することが報告されており,脂肪交雑の候補遺伝子の1つとして注目されている.そこで,佐賀県で生産された黒毛和種の種雄牛および繁殖雌牛と,佐賀県産種雄牛の糸晴栄の去勢息牛について,この1塩基置換と枝肉形質との関連性を検討した.種雄牛と繁殖雌牛の遺伝子型はCC 7頭,CT 19頭,TT 16頭であった.遺伝子型の効果はロース芯面積について5%水準で有意であり,CT型がCC型に対して有意に大きなロース芯面積を持つことが示された.糸晴栄の去勢息牛の遺伝子型はCC型 44頭,CT型 117頭,TT型 71頭であった.分散分析の結果,遺伝子型の効果は全ての形質において有意性が認められなかった.