2011 年 54 巻 1 号 p. 15-22
本論文は,頭数規模の拡大が進行する韓国肉用牛経営における,糞尿処理・利用の特徴と問題点を明らかにし,今後の改善方向を検討することを目的とする.韓国・忠清北道X市の肉用牛経営160戸を対象に調査票を配付するとともに,聞き取りによる実態調査を行った.飼養頭数8頭以上-75頭未満の農家について糞尿処理・利用方式の違いに着目し,類型別に考察を試みた結果,A類型(50%以上の堆肥を自家利用)は糞尿処理に要する労働費や購入粗飼料費の低さ,B類型(過半の堆肥を経営外に供与・販売)は堆肥販売による処理費用の回収等のメリットを享受している.一方で,飼料生産部門の労働負担軽減の体制作り,副資材購入の費用低減や堆肥販売促進のための対応を求められていることが明らかになった.またC類型(糞尿処理施設無し)をも含めた課題として,糞尿処理機械・施設の共同利用,共同堆肥化施設の可能性を検討していく必要があると思われる.