2011 年 54 巻 1 号 p. 5-14
アニマルウェルフェアに配慮した肉用鶏管理法開発の基礎的知見を得ることを目的として,4週齢のブロイラー6羽と熊本種12羽を同羽数の2群に分け,オガクズ床と牧草床で単飼し,床材が生産性,行動と羽毛状態に及ぼす影響を比較した.配合飼料の採食量について,ブロイラーでは床材の影響は認められなかったが,熊本種では導入7日目のオガクズ床区で多い傾向(P=0.06)がみられた.増体量と飼料要求率ではブロイラーと熊本種とも床材間に差がなかった.床つつき行動ついてはブロイラーでは区間に差がなかったが,熊本種では7日目の牧草床区で43%とオガクズ床区より多くなった(P<0.05).羽毛状態は牧草床区のブロイラーで汚損の進行が認められたが(P<0.05),熊本種では両区で汚損はほとんどみられなかった.
以上より,牧草床での飼育は熊本種では牧草を探査および採食することでウェルフェアレベル向上につながるが,ブロイラーではその効果が低いことが示唆された.