沖縄県内の黒毛和種子牛生産における妊娠期間の2001~2010年の推移と,それに関する産次,子牛性別,子牛の父牛の系統について検討した.平均妊娠期間は287.7±5.5日で,産次ごとでは初産次の286.2±5.8日が最も短く,2産次以上より有意(p<0.01)に短かった.産次を経過するにつれ妊娠期間は長くなり8産次で288.8±5.6日と平均より1.1日長く,最大値となった.雄子牛の在胎期間は雌子牛に比べて有意(p<0.01)に1.2日長かった.子牛の在胎期間を父牛の系統別に比較すると田尻系は藤良系よりも0.7日,気高系よりも1.1日いずれも有意(p<0.01)に長かった.分娩年次では2001年の妊娠期間が286.5日と最も短く,年次を経過するにつれほぼ長くなったが,年次を経るごとに産次数も増加傾向にあり,重回帰分析によると妊娠期間に対して有意な関係があるのは産次であった.したがって年次の経過に伴う妊娠期間の増加は産次がその要因の一つと示唆された.