日本暖地畜産学会報
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原著論文(短報論文)
高温環境下における妊娠育成牛の分娩前飼料の違いが栄養状態および泌乳初期の乳生産に及ぼす影響
神谷 裕子鈴木 知之田中 正仁
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2011 年 54 巻 2 号 p. 207-211

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抄録

夏季高温下において,妊娠育成牛6頭を供試し,分娩前3週間の飼料の違いが周産期の栄養状態および乳生産に及ぼす影響を検討した.分娩前の飼料は対照区TMR(TDN:69.8%,CP:12.4%,NDFom(中性デタージェント繊維):43.5%)または高エネ区TMR(TDN:73.9%,CP:12.1%,NDFom:37.4%)とし,妊娠育成牛の要求量の1.1倍を上限に自由採食させた.分娩後は,両区で同一の泌乳牛用TMR(TDN:75.3%,CP:12.9%,NDFom:36.0%)を給与した.供試牛の体温は,分娩前2週間,9:00に高エネ区で有意に低下していた(P<0.05).分娩前の飼料摂取量には,有意な差は認められなかった.分娩2週間前のTDN充足率は対照区で97.8%,高エネ区で106.0%であった.分娩前の総コレステロール濃度は,対照区と比較し高エネ区で有意に高くなった(P<0.05).分娩前飼料の違いは,分娩後の血漿中代謝産物に影響を及ぼさなかった.分娩後1-4週において,対照区と比較し,高エネ区では乳量が有意に高くなった(P<0.05).分娩後初回排卵日数は,分娩前飼料の影響を受けなかった.

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© 2011 日本暖地畜産学会
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