日本暖地畜産学会報
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原著論文(短報論文)
アイガモ農法におけるアイガモ雛への野生鳥獣害
高山 耕二島袋 卓中西 良孝
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2011 年 54 巻 2 号 p. 213-216

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抄録

アイガモ農法における野生鳥獣害防止法の確立に向けた基礎的知見を得ることを目的とし,アイガモ農法実践農家を対象に郵送によるアンケート調査を実施し,水田放飼したアイガモ雛への野生鳥獣害について検討した.
有効回答数は75(回答率21%)と決して多くはなかった.アンケート回答者に限ってみれば,アイガモ雛への野生鳥獣害の発生(2008年度)は65.3%であり,水田放飼開始直後(0~7日目)の被害が最も多かった.アイガモ雛を食害した野生鳥獣は農家によりカラスおよびイタチと認識されている場合がそれぞれ24.9および23.6%に上り,その一方で野生鳥獣の種類を特定出来ない場合が40%以上あった.被害防止法としては鳥類に対してはテグス類,哺乳類には電気柵の使用が大半を占めたが,被害発生の状況をみる限り防除効果は十分ではなかった.
以上のように,回答した農家の多くがアイガモ雛に対する野生鳥獣害を被っており,アイガモ雛を食害する野生鳥獣の特定を急ぐとともに,効果的な被害防止法の確立に向けた検討を進めていく必要性が示唆された.

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