日本暖地畜産学会報
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原著論文(一般論文)
強害雑草エゾノギシギシが侵入したイタリアンライグラス放牧地におけるウシとヤギの採食行動の比較
主税 裕樹花田 信太郎木山 孝茂廣瀬 潤大島 一郎髙山 耕二中西 良孝
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2015 年 58 巻 1 号 p. 55-60

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抄録

ヤギを利用したエゾノギシギシ(Rumex obtusifolius L.)(以下、ギシギシ)の生物的防除技術を確立する上での基礎的知見を得ることを目的とし、ギシギシが侵入した約1ha のイタリアンライグラス(Lolium multiflorum Lam.)草地において、放牧密度がほぼ等しくなるようにウシ区とヤギ区を設け、2009年4 〜 5 月の40 日間連続放牧した際の採食行動を両区間で比較した。放牧地におけるギシギシの株被食率およびその現存量を調査するとともに、出現植物の相対積算優占度(以下,SDR2')および両家畜の採食植物頻度(以下、GF)からギシギシに対するIvlev の選択性指数に基づく指数(以下、SI)を求めた。ギシギシの現存量は放牧16 日目および退牧時においてウシ区に比べ、ヤギ区で有意に少なく(P< 0.05)、その株被食率は試験期間中、後者で有意に高い値を示した(P<0.05)。ギシギシに対するGF はウシ区で0 〜 0.6%、ヤギ区では11 〜 14%であり、SI はいずれも負の値であったものの、放牧初期および後期ともにウシ区に比べてヤギ区で小さい値を示した。以上より、ウシおよびヤギともにギシギシを好まない傾向が認められたものの、後者でその程度が小さかったことから、後者は前者ほど強くギシギシを忌避しないことが示唆された。

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© 2014年 日本暖地畜産学会
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