日本暖地畜産学会報
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原著論文(一般論文)
牧場草地における野生シカの侵入実態
髙山 耕二園田 正林田 雄大石井 大介柳田 大輝冨永 輝松元 里志片平 清美大島 一郎中西 良孝稲留 陽尉塩谷 克典赤井 克己
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2017 年 60 巻 1 号 p. 21-26

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抄録

本研究では,山間部に位置する牧場草地へのシカ侵入の季節的変化を明らかにするとともに,侵入 防止柵に対するシカの行動反応について検討した.鹿児島大学農学部附属農場内入来牧場におけるシカの侵入状況 を定期的に調査したところ,シカの平均出現頭数は179 頭/ 日であった.採草地(2 ha)周囲に設置した物理的防 護柵(高さ175 ~ 200 ㎝の金網とプラスチックネットの併用柵)に対し,シカが柵基部に生じた30 ㎝程度の隙間 から侵入する状況が確認された.5 段張り電気柵(高さ140 ㎝,20 ~ 40㎝間隔で架線)に対するシカの行動反応は, 電線を視認あるいは電線に接触して後方に逃避する個体が観察された一方で,電線に触れることなく,電線間を通 り抜ける個体も確認された.  以上より,牧場草地には多数のシカが年間を通して侵入しており,より効果的な侵入防止策の構築が緊要な課題 であることが示された.

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