抄録
ホルスタイン種去勢雄牛16 頭の半腱様筋を用いて,熟成処理の違いが肉質に及ぼす影響を調査し
た.熟成処理は無処理(NA),冷蔵熟成(2˚C で38 日間;WA),氷温熟成[ − 1˚C で54 日間(HA-S)と108 日
間(HA-L)] ならびに乾燥熟成(2˚C で38 日間;DA)に区分した.NA に比べてWA とHA-S でドリップロスが
有意に増加した.HA-L とDA で破断強度が有意に低下し,DA で過酸化物価が有意に上昇した.WA で一般生菌
数が有意に増加したが,大腸菌群数は全ての検体で陰性だった.遊離アミノ酸総量は有意に増加し,特にHA-L で
顕著であった.また,脂肪融点,タウリンとカルノシン含量,遊離アミノ酸組成は変化しなかった.と畜後の熟成
処理により肉質は変化し,熟成方法によりその変化は異なることが示唆された.