日本暖地畜産学会報
Online ISSN : 2185-1670
Print ISSN : 2185-081X
ISSN-L : 2185-081X
原著論文(一般論文)
官能評価と理化学検査数値から見るかごしま黒豚の肉質特性
大小田 勉井之上 弘樹高橋 宏敬喜田 克憲多田 司井尻 大地大塚 彰
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 62 巻 1 号 p. 17-24

詳細
抄録

かごしま黒豚(バークシャー種:黒豚),LWD 三元交雑種(白豚),およびカナダ産LWD(輸入豚)の各ロースブロックを用いて,官能評価および理化学検査を行い,得られた結果を比べた.“香りの好ましさ”において,黒豚肉および白豚肉は高い評価を得たが,これらの豚肉からは輸入豚肉より多くの種類の臭気物質が検出された.また黒豚肉は,“噛み切りやすさ”および“咀嚼しやすさ”において高い評価を得ると同時に,輸入豚肉より有意に低い遠心水分遊離率を示した.一方で黒豚肉では,遊離のグルタミン酸(旨味)とトレオニン(甘味)の相対含量が数倍高く,また遊離のプロリン(甘味)とアラニン(甘味)の相対含量も有意に高かったが,“旨味の強さ・好ましさ”は白豚肉および輸入豚肉と同等の評価であった.背脂肪の脂肪酸組成においては,黒豚肉で多価不飽和脂肪の割合が低いことが認められた.総合評価は黒豚肉>白豚肉>輸入肉の順となった.

著者関連情報
© 2019 日本暖地畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top