日本暖地畜産学会報
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ニホンジカ肉へのワカメおよびアルギン酸の添加が理化学性状に与える影響
山中 麻帆林 英明中川 敏法浅野 桂吾長嶺 樹平山 琢二
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2020 年 63 巻 2 号 p. 69-75

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抄録

獣害対策に関連して,近年ニホンジカの食肉利用が重要な課題となっている.しかし,日本においてシカ肉は獣臭い,硬いなどといったネガティブなイメージが強く,食肉利用は未だ十分に進んでいないのが現状である.著者らは前報において,シカ肉をワカメで添加処理することで食味が改善することを報告した.また,アルギン酸は高い保水性を有していることから,前報ではワカメ中のアルギン酸がシカ肉の食味改善に関与した可能性があると考察した.このようなことから本研究では,シカ肉へのワカメおよびアルギン酸添加処理がシカ肉の理化学性状に与える影響について検討した.測定項目は,ドリップロス,加圧保水性,加熱損失,剪断力価,遊離アミノ酸および関連化合物含量とした.食肉のジューシーさに関連する加圧保水性は,無添加に比べアルギン酸で添加処理したものが有意に上昇した.また,食肉の硬さに関連する剪断力価は,無添加に比べワカメで添加処理したものが有意に低下した.このことから,シカ肉へのワカメ添加処理がシカ肉の物理性状を改善することが示唆された.

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© 2020 日本暖地畜産学会
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