西日本の夏枯れ地帯における肉用牛周年親子放牧体系で春季から秋季にかけて利用する永年生牧草種選定のため,バーミューダグラス,ディジットグラス(品種プレミア),バヒアグラス(品種ペンサコラ),矮性ネピアグラスおよびトールフェスク2品種(Kyushu 15およびウシブエ)を供試して,各3年間の栽培試験を行った.ディジットグラスおよび矮性ネピアグラスの造成当年の生育は良好であったが,越冬性に難があった.バヒアグラスは年間収量で最も優れていた.トールフェスク2品種間では試験結果にほとんど差がなかった.トールフェスク2品種は試験最終年に夏枯れを生じたが,夏枯れ防止に配慮した管理を行えばこれらの利用に問題はないと考えられる.トールフェスク2品種は年間収量でバヒアグラスを下回るものの,利用可能期間の長さ,生産性の季節的平衡性および飼料価値において優れており,特に極早生のKyushu 15が周年親子放牧体系での利用に最適と考えられる.