1989 年 32 巻 p. 87-90
体外受精により9~11日目に得られた胚盤胞を用いて凍結融解を行い, 段階希釈法とワンステップ法により耐凍剤を除去し, 両法の比較検討を行った。Glycerol平衡は10%Glycerolと20%子牛血清 (CS) を加えた修正PBSに直接投入して, 10分間行った。この時点で, 脱水により収縮したまま復元しなかったものは凍結から除外した。凍結は室温からSeeding-Point (-5.5℃) までを1.0℃/minの速度で冷却しSeeding-pointで10分間保持した後, 0.3℃/minの速度でLN2投下温度 (-30℃) まで冷却, 10分間保持し, LN2中へ浸漬した。数日間の保存ののち融解し, ワンステップ法 (10%Sucroseによるストロー内除去) と段階希釈法 (3段階除去) により耐凍剤を除去した後, 20%CS加修正PBSで洗浄して, 20%CS加Ham's F10のドロップ内 (100μl) で24時間培養して, 胚盤胞の発生日齢毎の生存率を調べた。
その結果, 発生日齢の間に有意差は認められなかったものの, 9日齢の胚においてワンステップ法, 段階希釈法ともに生存率が最も高かった。また凍結融解法間での比較でも有意差は認められなかったが, Totalの生存率を見るとワンステップ法で44.9%, 段階希釈法で43.0%と良好な成績が得られ, 体外受精卵の凍結保存の可能性が示唆された。