西日本畜産学会報
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所得階層区分による酪農経営の所得規定要因分析
上田 允祥森部 忠彦
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1996 年 39 巻 p. 49-53

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抄録

酪農経営における診断, 分析において, 酪農経営農家全体の傾向を明らかにするため, 技術, 生産性および所得面から階層別に分類し, 階層毎の特徴を求めてきたが、個々の農家の変動が大きく, 階層毎の特徴を表すのは困難であった。
そこで, 階層毎の特徴をより正確に求めるため, 酪農経営診断86事例を用いて, 家族労働力1人当たり所得および経産牛1頭当たり所得について, 全体農家の平均的な所得を基準に高低2群に分け, 12-13の経営診断項目を用いて, 階層別に2群に判別する線型判別関数式を求めた。
, その結果, 家族労働1人当たり所得については出荷乳量と乳飼比, 経産牛1頭当たり所得については購入飼料費, 個体の泌乳量が所得の高低別に2群に分類する基準として, 大きく関与していることが明らかとなった。このことは, 経営所得の向上は収入源である泌乳量と, 支出面で最も大きいウェイトを占める飼料費との関係で決定されることを示唆している。なお, 本報告での所得の算出は「畜産会方式」に基づいて行った。

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