黒毛和種去勢牛の枝肉形質推定値の肥育期間中の増加量を早期推定するために, 宮崎県および鹿児島県における1987年から1990年の産肉能力検定間接法調査牛238頭の体型測定値および枝肉形質推定値を用いて, Stepwiseの重回帰分析を行った。対象形質は第7胸椎部胸最長筋横断面積 (MLTA1) , 皮下脂肪厚 (SFT) , 筋間脂肪厚 (IMFT) , バラの厚さ (RT) , 脂肪交雑評点 (BMS) および第13胸椎部胸最長筋横断面積 (MLTA2) であり, 肥育開始2~12ヵ月の間2ヵ月ごとに推定を行った。
MLTA1, MLTA2, SFT, IMFT, RTおよびBMSの枝肉形質推定値の全肥育期間中増加量を従属変数として重回帰分析を行った結果, いずれの従属変数も肥育開始6ヵ月以降のステージにおいて高い精度で推定することができた。MLTA1, MLTA2およびBMSの増加量を従属変数とした重回帰式に取り上げられた独立変数の標準偏回帰係数は, すべてのステージをとおしてそれぞれ0.552~0.885, 0.347~0.835および0.409~0.858であった。また, 肥育開始6ヵ月以降のステージにおけるMLTA1, MLTA2およびBMSの全肥育期間中の増加量の推定式は, いずれも60%以上の寄与率が認められた。
SFT, IMFTおよびRTの増加量を従属変数とした場合も同様に, すべてのステージで高い標準偏回帰係数を示し, 肥育開始6ヵ月以降のステージの寄与率はいずれも50%以上であった。
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