2003 年 46 巻 p. 47-53
前報で作出したセラミックスより, さらに低コストで高い浄化処理能力を有する担体を開発するため, 形状を変化させた改良担体を試作し, 年間を通じた浄化能力の試験を行った.試験槽は, 容積6?の水槽を用いて, エアポンプによる曝気処理を行った.担体は, 前報で供試した市販セラミックス (以下対照区) , 低コストセラミックス (以下セラミックス (1) 区) に加えて, 低コストセラミックスの形状を凹凸構造に変化させた担体 (以下セラミックス (2) 区) の3種類を用いた.担体は, 担体容器 (縦6.0×横6.0×高さ9.4cm) に充填し, 40%充填区には3個, 50%充填区には4個の容器を使用した.試験は, 開始から約40日間は, 生物化学的酸素要求量 (BOD) 容積負荷を0.1~0.2kg/m3・dayの範囲で汚水投入を行い, 汚泥を形成させ試験に供した.試験期間中の処理水の引き抜きおよび汚水の投入量は, 1日1回1lとし, BOD容積負荷を0.1~0.8kg/m3・dayの範囲で行った.試験期間は, 2002年6月~2003年2月の9ヶ月間とした.担体の物理性状は, 気孔率で市販セラミックスと比較して低コストセラミックス (1) および (2) ともにほぼ同等の結果が得られ, 単価については, セラミックス (2) が (1) と比較して, 凹凸構造により重量が軽くなり最も安価となった.処理能力についても, BODおよび浮遊物質 (SS) は, 全ての試験区において約90%の高い浄化が確認され, 全窒素 (T-N) はセラミックス (2) 50%区で最も高く推移した.また, BOD, 化学的酸素要求量 (COD) , およびNH4-Nは, 冬季より夏季で除去率が高くなったものの, 試験区間における差は認められなかった.余剰汚泥濃度は, セラミックス (2) 50%区, 対照区の順で高く推移したが, 他の試験区では差が確認されなかった.以上の結果より, セラミックス (2) は, 市販セラミックスおよびセラミックス (1) とほぼ同等の耐久性と浄化能力があり, 最も低コストであるため, 担体として実用的であることが示唆された.