抄録
近年、海岸へのごみの大量漂着が各地で問題となり、生態系への影響も深刻化するなど、「海ごみ問題」は新たな地球環境問題として社会的にも関心が高まりつつある。こうした海ごみの多くは河川からの流出による陸域由来の生活廃棄物が多くを占めることが明らかになっている。しかし、河川の漂着ごみは移動性がきわめて高い上に、発生源が多岐にわたることから、その実態はほとんど明らかになっておらず、抜本的な対策も進んでいない。本研究では、こうした河川の漂着ごみをめぐる最近の研究や日本と韓国の取り組み事例をレビューし、その発生抑制に向けた社会的な仕組みづくりの課題について考察する。