2018年の改正水道法では、集権的広域化の推進が目指されている。しかし、そこには3つの疑問がある。「収入減少下における大量更新」という時代を迎えるなかで、広域化は有効な解決策になりうると言われる。しかし、少なからぬ水道事業者が広域化に消極的であり、中央と現場に乖離があることは重要な問題である。 そもそも、改正水道法は給水収益の減少を水道事業の重要課題に位置付けていた。しかし、その理由を人口減少のみに求めている点は誤りである。議論の出発点に疑問がある。 最後に責任水量制の問題がある。責任水量制の下で進められる統廃合は、ダム水源への依存度を過度に高める形になりやすい。しかし、それは安定給水の確保に必ずしも繋がらない。工業用水で検討されているように、水道用水供給事業でも責任水量制の見直しが必要である。そうしてこそ、財政およびリスク管理という点から、合理的な統廃合が可能になってくるはずである。