水資源・環境研究
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論説
琵琶湖南湖で過剰繁茂する水草を原料としたメタン発酵消化液の水耕栽培における培養液としての利用可能性
畑 直樹刘 鑫田口 夏帆金本 良成吉田 弦瀬山 智博戸田 龍樹伴 修平
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2019 年 32 巻 2 号 p. 65-74

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抄録

琵琶湖南湖で過剰繁茂している水草を、メタン発酵により処理することで、バイオマス資源として有効活用することが期待される。メタン発酵処理時に多量に発生する発酵残渣(消化液)には肥料分が多く残存しており、本研究では、水草メタン発酵消化液の培養液利用を目的として、リーフレタス、コマツナの水耕栽培時における消化液の肥料特性について検討した。消化液中に高濃度で含まれるNH4-Nは、硝化リアクター内で硝酸化処理することで、硝酸化前の約0.3%にまで減少し、NO3-Nに変換できた。硝酸化処理後、Feの欠乏対策としてFe-EDTAを追加した消化液希釈液を用いて栽培すると、硝酸化処理やFe-EDTAの追加を行っていない場合と比較して、リーフレタス、コマツナともに、有意に生育が促進された。一方、消化液中のMn濃度が極めて高く、コマツナでは栽培中に顕著なMn過剰障害が発生した。水草メタン発酵消化液は、硝酸化処理後、適濃度に希釈してFe-EDTAを追加することで、水耕栽培の培養液として活用できるものの、オオカナダモの存在によると思われるMn過剰について留意する必要があると考えられた。

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© 2019 水資源・環境学会
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