抄録
洪水期における容量配分において、八ッ場ダムの洪水調節容量は7割以上を占める。その運用を司る洪水調節計画は、ダム建設中の2013年、第4回基本計画で大きく変更された。洪水調節のモデルとなる洪水が変わったほか、初期から大量にダム湖内に洪水を溜め込む形に変更された。問題は、この計画変更に合理性があるかである。
現実の洪水が洪水調節計画と乖離する時、異常洪水時防災操作(但し書き操作)への移行を余儀なくされることがある。近年でも、2018年の平成30年7月豪雨で8ダム、2019年の令和元年東日本台風で6ダムが、当該操作を余儀なくされた。平成30年7月豪雨時、野村ダム、鹿野川ダムで異常洪水時防災操作を余儀なくされた原因が洪水調節計画の変更だったことを踏まえれば、八ッ場ダムの新洪水調節計画にもそうした危険性が潜んでいないか、検証される必要がある。