抄録
近年、中国の水資源管理において、水環境や水生態などの対策の責任者が「河長」として任命され、河川や湖沼の保護作業を指導する「河長制」という制度が注目されている。また、持続可能な制度運営のために政府によって住民参加が提唱されている。しかし、住民らが活動を継続しにくいなどの課題がある。そこで、住民活動を継続させる要因と活動の効果を明らかにすることを目的とし、湘潭市の民間河長プロジェクトに関してヒアリング調査を行った。
結果、継続の要因として、政府との信頼関係・互恵協力関係を構築したうえで、法律や協会の規定による民間河長の規範的管理とニューメディアの活用が不可欠であることが明らかとなった。また、民間河長が「河長制」に与える影響として、1)民間河長の増加や専門性の向上によって河長の人手不足などを補ったこと、2)河長の業績を民間河長が評価することにより政府内部で行われる人事考課の透明性を確保したことが明らかとなった。