抄録
タイでは、国家が整備してきた灌漑事業の非効率性を改善する目的で、2004年から王立灌漑局(RID:Royal Irrigation Department)主導により利水者を組織して水管理に参加させる参加型水管理(PIM:Participatory Irrigation Management)の政策的導入が図られてきた。本研究の目的は、参加型水管理における利水者の主体化が可能となる要因を、タイ北部チェンラーイ県の大規模灌漑事業を事例に、水管理責任者らへの聞き取り調査により明らかにすることである。調査の結果、RID主導で行われた水利費の統一的な徴収、水利組織の強化、灌漑共同管理委員会(灌漑JMC)設立などPIM改革の過程で、利水者・水利組織が自ら水管理に対する意識や行動を変化させ、問題解決に主体的に取り組むようになったことが明らかになった。