抄録
河川中流域には広い礫河原が存在し礫河原にのみ生育する河原固有植物がみられるが、近年は減少している。洪水は生育地である礫河原を形成するプラスの要因であるが、他方で個体群を流失・埋没させるマイナスの要因でもある。本研究では1950年代から2020年代までの年最高水位の時系列から礫河原面積の推移の予測を試みた。まず欠測が多い年最高水位を周辺の観測値から推定した。次に最高水位に対応して形成される礫河原は植生遷移により指数関数的に減少するが、次の洪水で再び礫河原となるモデルを作成し、過去の礫河原面積の推移を復元した。解析では、洪水で新しく形成された礫河原は植生遷移により3年でほぼ消失するとの結果となった。世代時間を通した生育可能面積を指標する3年移動礫河原面積最低値は減少し、生育地の不安定性を指標する5年移動礫河原面積変動係数は増加し、いずれも河原固有植物にとって不利な方向に変化していた。