抄録
環境問題の解決には、できるだけ身近な課題を対象として、市民レベルも含めた問題把握への習熟を図ることが必要である。この論説では、水環境を地域分権的に扱うことを主目的に、環境破壊を機能的にではなくむしろ感性的に捉え、大学や学会を含めた関連組織が連携する方策を模索する。ダム型の環境破壊を記憶にとどめ、自然の動態に重点をおきすぎた環境科学にnegativismの発想を加える必要を論じたのち、筆者が関わった水行革の提言を例示して問題点を摘出する。要諦は、市民立法をも含めた地域分権にあり、その先導を大学が果たすべき根拠を示し、具体的な提案を行う。