水資源・環境研究
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水環境保全とNPO
ローカル・ガバナンス形成の可能性と課題
野田 浩資
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2007 年 20 巻 p. 15-24

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抄録

水環境の保全は、伝統的には地域共同体によって担われてきたが、近代化・現代化にともない、近年、その新しい担い手として「環境NPO」の役割が期待を集めている。しかし、地域社会の実際の現場では、「環境NPO」が既存の諸主体との間でどのような役割を果たすことができるか、さまざまなかたちでの試行錯誤が進んでいる段階である。本稿では、筆者らが滋賀県守山市において実施してきたNPO法人「びわこ豊穣の郷」の調査に基づいて、「環境NPO」による水環境保全のしくみづくりを検討する。
「ガバナンス」とは、上からの統治と下からの自治を統合する概念であり、その特徴は、共有された目的に向けて、市民・企業・専門家・自治体・政府など、多元的で多様な主体(ステークホルダー)が、互いに認め合い、かつ、互いの活動を促進しあっている状態といえる。地域における「多主体連携」が、地域レベルでの環境保全とガバナンスの形成の可能性を開くであろう。今後の地域レベルので水環境保全をめぐって、伝統的地域住民組織、地方自治体に加えて、環境NPOが加わることによって、ローカルな環境ガバナンスの形成が可能になるという1つのシナリオを想定し、事例の紹介と検討をおこなっていく。

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