木材保存
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研究論文
示差走査熱量法および赤外分光分析法による木材-プラスチック複合材料(混練型WPC)の定量分析Ⅱ
-PP/PE 混合物をプラスチック原料とするWPC への適用性-
小林 正彦久保 智史片岡 厚石川 敦子松永 正弘木口 実大友 祐晋
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2015 年 41 巻 1 号 p. 8-17

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抄録

WPC は屋外耐久性が比較的高いことから主にデッキ材等のエクステリア材料として利用されているが, その耐久性については木粉率の影響が大きいことから, WPC 製品中の木粉率やプラスチック率を簡便な手法で定量的に分析する技術が望まれている。前報で示差走査熱量分析(DSC)法と全反射法フーリエ変換赤外分光分析(FTIR-ATR)法により, 木材とポリプロピレン(PP)を原料とする WPC において, 木粉率と PP 率をそれぞれ簡便に定量できることを明らかにした。しかし, WPC製品の主原料の一つである再生プラスチックは, PP とポリエチレン(PE)の混合物であることが多いため, PP のみならず PE を含む WPCについても上記の定量分析法の適用性を検証する必要がある。そこで本研究では, 木材とポリエチレン(PE)を原料とする WPC を対象として, DSC 法と FTIR-ATR 法により, PEを定量するための検量線を作成した。さらにこの検量線と前報で得た PP 定量のための検量線を, 検定用に製造した WPC(木粉および PP/PE 混合物等を原料とする配合既知の試料)に適用することにより, 定量分析の精度を検討した。その結果, FTIR-ATR 法を用いた場合に, プラスチック原料が PP と PE の混合物である場合においても, PP 定量のための検量線と PE 定量のための検量線を併用することにより, WPC 中の木粉率やプラスチック率を比較的正確に定量できることが示された。

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© 2015 公益社団法人 日本木材保存協会
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