木材学会誌
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一般論文
ワイヤデンドロメータによる樹木肥大成長の測定
バンドデンドロメータおよび刺針法との比較
山下 香菜岡田 直紀加茂 皓一
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2006 年 52 巻 1 号 p. 8-18

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抄録
ワイヤデンドロメータでスギとヒノキの肥大成長を2成長期にわたって測定し,アルミ製バンドデンドロメータおよび刺針法による結果と比較した。張力を一定としたしなやかなワイヤを導入することによって,ワイヤデンドロメータではバンドデンドロメータに見られた取り付け時のバンドの弛み,バンドの摩擦や肥大成長にともなうバネの締め付けの影響が軽減された。ワイヤデンドロメータと刺針法とでは,肥大成長の開始時期,急激な成長期から緩やかな成長期への移行時期はほぼ一致したが,ワイヤデンドロメータで木部形成停止時期を判断するのは難しかった。両手法の期間成長量の間には成長期を通じて有意な相関が認められたが,早材形成初期と期間成長量の絶対値が小さい晩材形成期には違いが見られた。木部形成の期間成長量は方位によって一様ではないが,ワイヤデンドロメータによる樹幹周囲長の測定では,樹幹全体の平均的な成長量を非破壊的に連続測定することができた。
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© 2006 一般社団法人 日本木材学会
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