木材学会誌
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カテゴリーII
縄文杉落枝材及び滲出樹脂のテルペノイド成分
森田 慎一
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2011 年 57 巻 3 号 p. 169-177

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抄録
落下した縄文杉の枝材(推定枝齢800-1000年)から試料を採取し,健全部分と腐朽部分におけるメタノール抽出物のヘキサン可溶部(中性部),並びに樹皮から表面に滲出していた樹脂中のテルペノイド成分を分析した。その結果,材の健全部分ではδ-cadineneが最も高い組成比を示すとともにcadaleneなど芳香環を持つテルペノイド成分がいくつか検出された。腐朽部分ではセスキテルペン炭化水素の減少に伴ってジテルペン類の組成比が高くなり,未同定成分も多数検出された。また,樹皮から滲出していた樹脂の主要成分は,α-pinene,6, 7-dehydroferruginol及びferruginolの3つであった。縄文杉の滲出樹脂と35年生のヤクスギ造林木に傷をつけて滲出させた樹脂とでは,テルペノイド成分の構成がやや異なり,縄文杉の滲出樹脂では含酸素セスキテルペン類の比率が低かった。
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© 2011 一般社団法人 日本木材学会
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