2016 年 62 巻 6 号 p. 275-283
本研究は,木質壁面の基本的なデザイン要素がヒトの生理的および心理的反応に及ぼす影響を捉えることを目的とした。節の有無,材の向き,縦継ぎの有無の異なる6種類の壁面パネル画像を大型液晶画面に等倍表示(1016mm×576mm)した。28名の男女学生にこれを自由に観察させ,その間の視線移動を追跡するとともに,後頭部に現れる眼球停留関連電位(EFRP)の同時測定を行った。6種類の壁面パネル画像の見た目の印象も評価させた。主観評価では,節のない壁面の方が節のある壁面よりも有意に「均一」で「好ましい」と評価された。EFRPにおけるラムダ反応の大きさには,節の有無よりもむしろ壁面中の材の配置が影響した。また,画像観察中の視線の総停留時間,停留回数から,節の高い誘目性が確認された。