2019 年 16 巻 p. 99-116
近年,高齢者福祉分野において,市民福祉の制度化は,地域包括ケアシステ
ムの構築という国の政策方針のもと,住民主体ないし互助としての生活支援の
システム化という形で推進されつつある.本稿では,まず,これらについての
国レベルでの政策動向を確認する.次に,実態把握に必要な視点として,「ケ
アの社会化」パラダイムの再編,親密圏の再編,階層・格差の進行という視点
を提示する.その上で,「住民主体の生活支援」の全国的な概況を確認する.
さらに,自治体による「生活支援」の基盤整備の実態について,都内の2 つの
自治体を対象に筆者らが実施したヒアリング調査の結果を示し,上述の視点か
ら考察する.最後に,これまでの議論を整理し,得られた知見と示唆をまとめる.